META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 浪曲特選・女流浪曲師天津ひずる・「原爆の母」の《美しさ》
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2023-03-27

浪曲特選・女流浪曲師天津ひずる・「原爆の母」の《美しさ》

 午後2時過ぎから、浅草木馬亭で浪曲を聴く。口演は天津ひずる。演目は、飯山栄浄作「原爆の母」。平成7年(1995年)、戦後50年を節目にして作られた佳品である。舞台は広島、海辺の町か。原爆で顔を負傷した母・ゆきえは、戦地に抑留された夫・のぶゆきの帰還を待ちわびている。いよいよその日がやってこようという折も折、姑からは離縁を申し渡された。「これは暇金、といって悪ければ、孫のみのるを、これまで育ててくれたお礼です」「待って下さい、お母さん。せめてあの人がお帰りになるまで、私をこの家に置いてください」「それは無理、あなた、その顔で、のぶゆきに逢えるおつもり?」「・・・・」(これが浮き世か人の世か、今は原爆、身に受けて、醜い姿じゃあるけれど、この家に嫁いだその時は、こんなに悲しい顔じゃない・・・)「みのるには、新しいお母さんを迎えます。明日にでも、この家を出て行って下さい」。そこに帰ってきたのが7歳のみのる、「お母さん、ただ今」「お帰りなさい。もうすぐお父さんが帰ってくるのよ」「ふうん、でもボク、お父さんの顔、知らない。お母さん、元気がないけど、またお婆ちゃんにいじめられたの」「いいえ、お母さんはちょっと用事ができたので、家を留守にします」「いつ帰るの」「用事が終わったら、すぐに帰ります。それまで待っててね」。しかし、母はすぐには帰らなかった。父・のぶゆきが帰還の日、〈みのるはそっと家を出て、渚に立って母を呼ぶ。呼べど答えは返り来ぬ。青く冷たい冬の海、磯の千鳥も親子連れ、なかよく飛んでいるものを、なぜに帰らぬお母さん。たずねて行こう、いますぐに。あわれ、みのる少年が、辿る足取り日も暮れて、ここは中国山脈の山と山とに誘われた、家もまばらな山里に・・・〉着いたのは、極寒の真夜中、再会できた原爆の母子、「もう離れない、離さない」と抱き合うところに、やってきたのが父、のぶゆき、「今、帰ってきたよ」。逡巡し、謝罪する妻・ゆきえにむかって一言、「人間は姿形ではない。美しい魂こそが尊いのだよ。罪は原爆にある、戦争にある」、かくて、ゆきえは「心の傷も身の傷も、忘れて、恋しい夫の胸に・・・」、季節はもうすぐ春「緑、若草、ほほえまむ」という一節で終章となった。この佳品の眼目は、いうまでもなく「反戦」、加えて「親子愛」「夫婦愛」の源泉である「美しい魂」の描出にあると思われるが、その美しさが終始一貫、天津ひずるの「声」「曲」「啖呵」の中に「響き」となって流れていたことに、私は驚嘆した。たった30分ほどの作品だが、数ある(長編)反戦映画、反戦ドラマに比べて、一歩も引けを取らない「名作」だと確信する。折しも、明日は「原爆記念日」、あらためて戦争の「愚かさ」を肝銘しつつ、炎天の浅草を後にしたのであった。(2013.8.5)
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