META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 2023年10月
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2023-10-31

劇団素描・「南條隆とスーパー兄弟」《芝居「河内十人斬り」の名舞台》

【南條隆とスーパー兄弟】(総座長・龍美麗、座長・三代目南條隆)〈平成27年5月公演・浅草木馬館〉
この劇団は昨年、ほぼ2か月に亘って「裏舞台」(2チャンネル)を湧かせたが、大女将・大路にしきの采配(孤軍奮闘)もあって、見事「風評との闘い」に勝利した。今年1月に座長・南條影虎が三代目・南條隆を襲名、関東でもその披露公演が行われている由、加えて今月は二代目南條隆の長男・南條光貴がゲスト出演している。芝居の外題は「河内十人斬り」。この芝居は「1893年(明治26年)に大阪府南東部の金剛山麓の赤阪水分(あかさかすいぶん)村で起こった殺人事件」を題材にしている。ウィキペディア百科事典にはその発端、顛末が以下のように紹介されている。〈この事件の犯人は、村民で博打打ちの城戸熊太郎とその舎弟の谷弥五郎で、熊太郎の内縁の妻おぬいが、村の顔役の松永傳次郎の弟、松永寅次郎と密通していた事が発覚したことから、事件は起きた。熊太郎が激怒して別れ話を切り出したが、おぬいの母おとらが「お前とおぬいが一緒になる時に自分に毎月仕送りをする約束だったのに、全然仕送りを貰っていない。別れるなら払わなかった分を全部払ってから別れろ」と熊太郎をなじった。仕方なく熊太郎は金を払うことにしたが、博打打ちでその日暮らしの熊太郎には、まとまった金が無く金策に奔走した。そして昔、博打で勝っていた時に、松永傳次郎に金を貸していたことを思い出し、返してくれるように頼んだが、傳次郎は記憶に無いと言い張って、子分を使い熊太郎を袋叩きにした。松永一家に女を盗られ、借金まで踏み倒されて半殺しにされた熊太郎は、舎弟の弥五郎に押されて仕返しを決める。犯行当日(明治26年5月25日)、刀を差し、猟銃を抱えた熊太郎・弥五郎は雨の深夜を狙って犯行に及んだ。熊太郎の妻おぬいとおぬいの母親おとら、松永一家に乗り込んで松永傳次郎と傳次郎の妻と傳次郎の子供2人、そして傳次郎の長男松永熊次郎の家に乗り込み、松永熊次郎と熊次郎の妻と熊次郎の子供3人と生まれて間もない子供も含め11人を殺害した。しかし、事件の発端となったおぬいの浮気相手の松永寅次郎は京都の宇治へ行って難を逃れていた。それから乗り込んだ家に火薬を仕込み灯油をまいて放火して金剛山へ逃亡した。翌日26日に地元の富田林警察署に通報が入り、事件が発覚する。大阪府警本部からの応援も駆けつけ、逃亡したと思われる金剛山に非常線を張ったが、二人はなかなか捕まらず、食料を強奪されたとの報告が来るばかりだった。痺れを切らした捜査本部は、山狩りを開始したがイタチごっこが続いた。しかし事件から2週間後、金剛山中で二人の自殺死体が発見され、事件は解決した〉。
芝居の筋書きは脚色されており実話とは異なるが、大筋に変わりはなかった。松永傳次郎に二代目・南條隆、城戸熊太郎に南條光貴、谷弥五郎に龍美麗、おぬいに芸名不詳の女優、松永寅次郎に南條勇希、おとらに南京弥、熊太郎の母、金剛山中の老婆二役を大路にしき、老婆の孫(?)に龍魔沙斗という配役で、三代目・南條隆の出番はなかったが、熊太郎を演じた南條光貴、弥五郎役の龍美麗の風情が絶品で、たいそう見応えのある舞台に仕上がっていた、と私は思う。見どころは満載で、①仇役・二代目南條隆の「柄の悪さ」、②おとら・南京弥の剽軽な悪役振り、③熊太郎・南條光貴の「本心」を隠した軟弱振り、④弥五郎・龍美麗の一本気な凄み、⑤それと絡む龍魔沙斗の茶目っ気等々が、舞台の景色を際立たせる。とりわけ、総座長・龍美麗の所作・口跡に「大きな成長」の跡が感じられる。昨年の「不本意」(悔しさ)をバネにして、それを舞台で跳ね返そうとする証しであろう。筋書きでも弥五郎は「ムショ帰り」という設定、大路にしきに「あの子は刑務所が好きなんだから」と揶揄される場面が、ことのほか絵になっていた。文字通り「災い転じて福と成す」名場面であった。
 第二部の舞踊ショーで、いよいよ三代目・南條隆登場。「立ち役」「女形」で艶やかな舞姿を披露していたが、出来映えは「今一歩」、心象表現が単調すぎた。というのも、ゲスト出演・南條光貴の「女形」が群を抜いていたからである。曲目は「流恋草(はぐれそう)」(詞・里村龍一、曲・聖川湧、唄・香西かおり)。詠って曰く「流す涙は乾いても 淋しい心はかくせない 星も見えないこの街で あなたしかない私」。「コーキ!」というハンチョウが飛び、登場しただけで、その「淋しい心」が露わにされるのである。「ああ お酒ください ああ 寒い胸に 涙が凍る心が燃える あなたが欲しい ひとりが辛い こんな夜は あなたを許せない」と続く中で、踊る側と観る側の「心」が一体になる。「あなた」とは自分に他ならないことを観客(私)は思い知らされるのである。とどめには「雨の小道に散る花に この世のはかなさ知りました ひとつ拾って手にのせりゃ 悲しみがこぼれます ああ 抱いて下さい」。「よし!、抱きしめたい」と思う間もなく南條光貴の姿は消え失せ、三分間のドラマの幕は下りる。聞くだけでは「ナンボのもん」と思われる流行歌が、舞踊によって稀代の名曲に変身してしまうから不思議である。
 今日もまた芝居の名舞台、舞踊の至芸を堪能、元気いっぱいで帰路に就くことができた。感謝。



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