META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 2023年12月
2ntブログ
QLOOKアクセス解析
2023-12-31

劇団素描・「劇団美鳳」・《芝居「マリア観音」&「子持ちやくざ」の舞台模様》

【劇団美鳳】(総座長・紫鳳友也)〈平成27年11月公演・小岩湯宴ランド〉
 芝居の外題は名作「マリア観音」。この名作が名舞台に仕上がるには必須の条件がある。その条件とは、一に主役・霞の半次郎の初々しさ、二に父・阿部豊後守の風格、三に母・お蔦の隠された色香、その魅力が三つ巴となって終局の名場面に結実化していくのだが・・。筋書きは、長崎で知り合った阿部豊後守とお蔦、しかし諸般の事情で豊後守は江戸へ、後を追ったお蔦の胎内には半次郎が宿っていた、やがて16年の月日が流れたが、豊後守はお蔦のことが忘れられず、未だに独身、御禁制のマリア観音を隠し持ち、「再会」を祈っている。お蔦は貧しい長屋暮らし、倅の半次郎は「父なし子」の負い目から「やさぐれて」スリの仲間へ、ある時、運命のいたずらか、半次郎は豊後守の懐から印籠を掠め取った。それをお蔦に見咎められ、自分の父が豊後守であることを明かされた。「自分にはお父っつあんがいたんだ。しかも、そのお父っつあんから盗んでしまったのか」。悔恨と慕情が入り混じり、半次郎は家を飛び出していく。「何てことを!。奉行に出世したあなたの子どもが盗人だなんて・・・・私は育て方を間違えました」。お蔦は自刃する。半次郎、何も知らずにスリの仲間に合流すると、兄貴分「今、これを豊後守の家から盗んできた」とマリア観音を披露した。「これは御禁制の品、豊後守を窮地に追い込める宝物だ」と喜ぶ連中を、半次郎は斬殺し、マリア観音を豊後守に届けるというお話である。
 本日の舞台、配役は父・豊後守に総座長・紫鳳友也、母・(お蔦改め)こよしに扇さとし、肝腎の半次郎は一條静香?、それとも一條明日香?、半次郎をやさしく見守る十手持ち親分(豊後守配下)・銀次に座長・一城進悟、スリの兄貴分・城秀人、という面々であった。名舞台に仕上がる必須の条件の一、霞の半次郎の風情はやや生硬だが、精一杯の熱演で好感が持てた。二の豊後守は、「武家」としての貫禄は不足気味、三の母・こよしに至っては「艶」不足が目立って興ざめな結果に終わってしまった、と私は思う。やはり、半次郎の母は「女優」が担うべきであろう。例えば、一條静香ならと誰しも思うはずだが、それが叶わなかったとすれば、半次郎を演じたのは静香だったのか・・・・?、など「判然としないまま」幕は下りてしまった。扇さとしという役者は、大月瑠也、春川ふじお、を兄弟に持つ実力者、以前に見聞した「瞼の母」の舞台でも、お浜役を「演じさせられて」(損をしていた)が、まだ兄・大月瑠也の「域」にまでは達していない、ということである。
 夜の部・芝居の外題は「子持ちやくざ」。こちらは関東風・痛快剣劇の「典型」で、親分を闇討ちされた仏一家の通夜に忍び込んだ旅鴉(総座長・紫鳳友也)が、空腹の余り、供えられた陰膳を掻っ込んでいるところを子分衆に見つかり、打擲されていたが姐さん(一條静香)の温情で許されたそのうえに、羽織までプレゼントされる。折しも、川向こう一家の殴り込みで、現場は大混乱、旅鴉あわてて羽織を持って逃げだそうとしたが、手にしていたのは一家の仁代目を継ぐべき赤児(抱き人形)であった、というお話。二景は数年後(四,五年?)、旅鴉は「子持ちやくざ」として、赤児を立派に育てている。仏一家は、凋落、今では病身の姐さんを、魚屋になって稼ぐ子分一人(芸名不詳の男優・好演)が養っていた。売れ残った魚を買い取ってくれる料理屋の老爺(座長・一城進吾)も居て、一家は細々と存続していたが、そこにやってきたのが件の旅鴉、「あの時の恩返し」と、川向こう一家(親分は扇さとし)を一網打尽、仏一家二代目(子役・四郎?)を姐さんに返上する。しかし、二代目(子役)いわく「ちがう、ちがう、あの人はおっ母ちゃんじゃない。生みの親より育ての親!おいらの親は、お父っちゃん、おめえだよ」と泣き崩れた。旅鴉「そんな聞きわけのねえ、お前は大嫌いだ。オレはお前のお父っちやんでなんかありゃあしねえ、近寄るな!」と(泣く泣く)制すれば、「そうか、じゃあこの家に残るから、おいらを嫌いだなんて言わないで・・・」と哀願する姿はお見事!大詰めは、去って行く旅鴉に向かって「ちゃーん、ちゃーん、ちゃーーん」という声が谺する。そのリフレインを掻き消すように、縞のカッパを回し負い、キッと体を固くして旅鴉の姿は花道に消えた。昼の部「マリア観音」の感動は不発に終わったが、その不満を取り戻すには十分な名舞台であった、と私は思う。大昔、浅草木馬館の常連(観音温泉の踊りの先生)が呟いた一言、「子どもが一番うまいや」という声が、また聞こえてきた。「子は宝」という至言は、今もまだ斯界では輝いているのである。



にほんブログ村 演劇ブログ 大衆演劇へ
にほんブログ村 
blogram投票ボタン

観劇 ブログランキングへ

ブログランキングNo.1
ブログランキングNO1

スポンサードリンク


プロフィール

e184125

Author:e184125
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
ブログランキングNO1
ブログランキングNO1