META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 付録・浪曲特選・女流浪曲師・天津ひずるの「魅力」・《「瞼の母」》
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2023-03-26

付録・浪曲特選・女流浪曲師・天津ひずるの「魅力」・《「瞼の母」》

午後0時30分から、浅草木馬亭で浪曲を聴く。出演者は、玉川太福(「太閤記長短槍合戦」、澤華丸(「万手姫恋慕」)、富士鷹雄(次郎時致母の祈り」)、天津ひずる(「瞼の母」)、港家小柳(「忠臣蔵両国橋勢揃い」)、国本武春(「忠臣蔵田村邸の別れ」)という面々であったが、やはり、天津ひずるの口演は群を抜いていた、と私は思う。演目は「瞼の母」、これまでに、二葉百合子、伊丹秀子、中村富士男、天津羽衣、京山幸枝若らが、「いずれ菖蒲か杜若」といった(甲乙つけがたい)作物を残しているが、いうまでもなく、彼女は師・天津羽衣の芸風を忠実に踏襲していた。私は、かつて天津羽衣の作物について、以下のように綴った。〈土地の親分藤造が水熊の女将・お浜に「匿っている男を出せ」と迫るのだが、男はいない。その男とは、実は番場の忠太郎で、先刻(昨日)、藤造の子分たちがお浜の娘・お登勢にしつこく絡んでいたところを、「黙って助けてくれた」という設定である。しかし、忠太郎とお登勢は初対面の「知らぬ同士」、お登勢が「お礼を言う暇も無い内に行って終った」由。お浜いわく「名前くらい聞きゃ良かったのに、世の中は広いねえ。悪い奴も多い代わりに、そんな良い人もいるんだ」。その後は定番通り、大詰めで、忠太郎が「抱いて温めた百両ッ、何とぞ見てやっておくんなせえッ」と迫っても、「・・・いいや、その手にゃ乗らない、乗るもんかッ・・・世間の裏から表まで、散々見てきた私だよ。水熊の身上が入るならと、百両位は誰が貸さないものでも無い。さ、良いかえ忠太郎さん、それを言われて口惜しかったら、何故そんなやくざ姿で尋ねて来たんだぃ、やくざは浮世の屑じゃァないかッ・・・」と、冷たく拒絶する。通常なら、「お内儀さん・・・親に放たれた迷い鳥、ぐれたをあなたは責めなさるかッ」、《こんなヤクザに誰がしたんでィ》と居直るところだが、天津羽衣の忠太郎は違っていた。「いいや、もう何も言いますめえ。お登勢さんとやらにも一度逢いてえが、いいやそれも愚痴だろう・・・あーあ、考えて見りゃあ俺も馬鹿よ・・・・」と自分を責めるのである。その後、忠太郎が立ち去ろうとしたところにお登勢が遭遇、「あッおッ母さん、あの人ですッ。今ッ出ていたあの人が、昨日私を助けて呉れた人なんですッ」。お浜は驚愕、仰天して忠太郎を追いかける、という幕切れ、ここらあたりがこの作物の特長であろうか。天津羽衣の語り・節回しは一貫して「母性的」、止めにいわく「さすがお浜も生みの母 嵐の如く胸は鳴り 呼び醒された愛情に 血相変えた二人が 声を限りに名を呼んで 表へ出れば早や既に とっぷり暮れた江戸の空 憎や やくざの藤造が それと気づいて後を追う 番場生まれの忠太郎 又その後へ追い縋る 母とお登勢の三ツ巴 荒川べりの血飛沫も 瞼の母の物語」。その物語は、もしかして、お浜が語った物語・・・。お浜が見た、愛しいわが子の物語ではなかったか〉。天津羽衣の作物はCD、天津ひずるは「実演」という違いはあるものの、私の独断と偏見によれば、明らかに「弟子の技量が師を超えている」。その例証一は、声の「質」(声音)である。羽衣の声は「有彩色」、艶やかで仇っぽい空気が漂うが、ひずるの声は「透明色」、どこまでも澄みわたり、天女の風情を彷彿とさせる清純さを描き出す。二は、節回しである。羽衣の節回しを完璧に踏襲しながら、ひずるの節には寸分の隙もなく、「語り」と「歌謡」が見事に調和していると言えるだろう。三に、セリフ回しである。ひずるの口跡には「訛り」が皆無、本職の「声優」と比べても遜色はない。とりわけ、忠太郎とお浜の「絡み」は秀逸、言辞とはうらはらに、心中では「親子名乗り」をしているお浜、それを察して、潔く引き下がる忠太郎の(やるせない)「侠気」が溶け合って、まさに師・天津羽衣が目指した「母性」が見事に浮き彫りされていた、と私は思う。けだし、「お浜が見た、愛しいわが子の物語」に他ならない。
トリを務めたのは、今、「売り出し中」の国本武春だが、「どうだ!」という力みすぎが目立って、浅野内匠頭や片岡源吾右衛門の姿はどこにも見あたらず、曲師・澤村豊子の至芸(三味線の音色)だけが際だつ有様、まだまだ母・国本晴美の「域」には遠く及ばない、などと身勝手(的外れ?)なことを考えながら、帰路に就いた次第である。(2012.3.1)
瞼の母瞼の母
(1995/11/01)
天津羽衣

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