META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 付録・浪曲特選・国本武春「清水の三下奴」&天津ひずる「婦系図」
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2023-03-25

付録・浪曲特選・国本武春「清水の三下奴」&天津ひずる「婦系図」

午後から、浅草木馬亭で浪曲を聴く。出演は天津ひずると国本武春。演目は天津が「婦系図」、国本が「次郎長外伝・清水の三下奴」であった。この御両人は、今や関東を代表する浪曲師に違いない。ベテランに、澤孝子、玉川福太郎、大利根勝子、東家浦太郎、浜乃一舟、三門柳らが居並ぶ中で、若手、中堅として一際「気を吐いている」存在であろう。私が知る浪曲師といえば、二代目・広沢虎造を筆頭に、広沢菊春、広沢瓢右衛門、三門博、二代目・玉川勝太郎、浪速亭綾太郎、梅中軒鶯童、相模太郎、伊丹秀子、天津羽衣、二葉百合子といった面々で、二葉を除けば、皆「鬼籍」に入っている。とはいえ、彼らが描出した珠玉の作物は、今もなお私の脳裏から離れない。したがって、どうしても、そうした先人の浪曲と「聴き比べてしまう」結果になってしまうのだが、私の独断と偏見によれば、「師を超える」景色・風情を醸し出している浪曲師は少ない。例えば、日本浪曲協会会長の澤孝子、彼女の師は広沢菊春と聞く。「からかさ桜」「春よ来い」等の名作があるとはいえ、菊春特有の「節回し」には及ばない。例えば、玉川福太郎、どちらかといえば「軽妙・洒脱」な芸風で、勝太郎が描出する「重厚でいて艶やかな」(いぶし銀のような)世界とは異質である。例えば、三門柳、師・三門博の足跡を懸命に辿ろうとする姿勢は窺えるものの、その「変幻自在」な「節回し」の艶っぽさには、遠く及ばない。浜乃一舟も同様、伊丹秀子の「啖呵」(の魅力)とは無縁であった。そんな中で、副会長の国本武春が、果敢にも「虎造節」に挑戦!、と相成ったが・・・。結果は残念ながら「虎造もどき」、その「声音」「啖呵」において遠く及ばない。その昔(昭和30年代)、「浪曲天狗道場」なるラジオ番組があり、のど自慢の素人衆が、達者な旦那芸を披露していたが、その出来映えは五十歩百歩、「銭を取る芸」ではなかった(と私は思う)。「虎造節」は、鍛え抜かれた「声音」に、哀愁を帯びた「短調」のメロディーが主流でなければならない。「啖呵」は、どこまでも軽妙で歯切れよく、その言葉のはしはしには、「裏街道」を歩く侠客の「諦念」と「謙虚さ」も加わって、陰と陽との絶妙なコントラストが、「虎造節」の真骨頂なのだから・・・。とはいえ、国本武春の師は虎造ではない。現代の大衆に向けた啓発をねらいとしていたなら、それはそれでオーケー、何も言うことはない。(いつもながら、国本武春の「向上心」「研究熱心」さに、私は拍手を惜しまない)さて一方、天津ひずるの演目は、師匠譲り(?)の「婦系図」、私の見聞は2度目だが、その完璧な出来映えは、変わらなかった。当時の感想は以下の通りである。〈湯島境内の別離から一年後。病魔に冒されたお蔦の病状は悪化の一途、面倒を見る惣助夫婦の計らいと説得で、「真砂町の先生」も改心、早瀬主税を静岡から呼び寄せたが、時すでに遅し、お蔦の臨終には間に合わなかった、という愁嘆場である。口演の天津ひずるは、その状景・叙情を「淡々と」、しかも迫真の「技」で描出する。浪曲の真髄は、一声、二節、三セリフ(啖呵)と思われるが、声は清らかに澄みわたり、細やかな節回しも絶妙、セリフは、聞いただけで、その個性的な人物像が浮き彫りされる、といった按配で、文字通り「三拍子揃った」、天下一品の出来映えであった、と私は思う〉。今日もまた、彼女が「演じますのは、泉鏡花原作・婦系図。サァー・・・」と発した瞬間に、舞台は「明治」に変化(へんげ)し、私たちは、居ながらにして「明治」という時代に生きた人々の、「義理と情け」の世界に引き込まれてしまうのだ。寡聞にして、私は、彼女の師・天津羽衣の「婦系図」を見聞していない。しかし、その「節回し」「セリフ回し」ともどもに「師を超えている」ことは確かであろう。臨終のお蔦に降りかかる白梅の花びらが、私の目にはハッキリと見えたのだから・・・。聞けば、来る10月26日、「第1回浅草浪曲祭」の「節劇・浪曲シンデレラ」で、天津ひずるは〈浮き世離れした大きなシンデレラ〉を演じるという。さもありなん、彼女は、まさに「斯界のシンデレラ」、ますますの活躍と舞台の盛会を祈りつつ帰路に就いた。(2012.10.1)



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