META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 劇団素描・「新演美座」・《芝居「十三夜」》
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2023-09-22

劇団素描・「新演美座」・《芝居「十三夜」》

【新演美座】(座長・旗丈司)<平成20年3月公演・川崎大島劇場>
 柏公演で二代目座長・小林志津華が「連日、50人は集めてみせます」と豪語していたので、その様子を見聞に来た次第だが、客の入りは22人ほどだった。芝居の外題は「十三夜」。「新派」もどきの「人情劇」、任侠剣劇が多い関東の劇団の中では貴重な舞台だった。登場人物は、貧農の兄・鉄蔵(金井保夫)と妹・おこよ(春野すみれ)、妹の許嫁・茂作(旗丈司)、材木問屋の若旦那(深水つかさ)、その兄(小林志津華)、村人(雲井松美、大和直斗、大和歩夢)。年に一度の村祭りの日、おこよは茂作と見物に行く約束をしていたが、兄・鉄蔵は「仕事がある」といって連れ戻そうとする。おこよは応じない。可憐だが気の強そうな娘を、春野すみれが好演していた。そこへ、茂作登場。言葉遣いもたどたどしく、どうみても「一人前」ではない。鉄蔵のことを「あにやん」と呼んでいる。「わしが、兄やんちの仕事を手伝うから、見物にいかせてくんろよ」と説得、鉄蔵もしぶしぶ認めた。二人は手に手を取って神社の境内に消え、兄も退場しようとしたが、そこへ江戸の大店・材木問屋の若旦那、苦しそうにあえぎながら登場、まもなく「行き倒れ」た。まもなく、おこよ再登場。「人混みの中で茂作にはぐれた、一緒に探してくれ」と鉄蔵に頼む。そうこうしているううちに、二人は若旦那に気づく。「たいそう立派な身なりをしているが、きっと江戸のお金持ちだんべ」「あにやん、この人、もうすぐ子供が生まれるのか?」「どうして?男が子を産むわけがなかろうに」「でも、おなかがふくれてる」「そうか、この人は腸満という病気、うつってはいけないから、早く家に帰ろう」しかし、おこよは応じない。「助けてやろうよ」、執拗な説得に、鉄蔵もしぶしぶ医者に連れて行く羽目になった。それから半年、若旦那の病気は全快したが、まだ鉄蔵宅に逗留している。鉄蔵宅をのぞきながら(おこよと若旦那は外出して不在らしい)村人の話。「近頃、おこよの様子が変だ。祭りの日から変わってしまった」「若旦那とできてしまったようだ」「かわいそうなのは許嫁の茂作、バカだから何にも知らない」「茂作は、本当にバカだからなあ・・・」それを聞き留めた茂作(おそらく二人の様子を探りに来たのだろう)、鉄蔵に訴える。「みんなが、おれのことをバカにする。おこよは、もう、おれの嫁になるつもりはなくなったのだろうか」「そんなことはない。こんな貧乏人の娘が、あんな金持ちの嫁になれるわけがない」「そうか、それで安心した。安心したら腹がへった」「じゃあ、家に入って冷や飯でも食おう」そこへ、若旦那とおこよ登場。「若旦那、江戸へ帰ってしまうのか?」「はい、でもあなたを連れて帰ります。どうか私と一緒に暮らしてください」「本当か!」思わず驚喜して若旦那に抱きつくおこよ、それを見とがめた鉄蔵、一喝する。「お前たち、いったい何をしてるんだ。昼日中からみっともない」しかし、おこよは動じない。「誰も見ていない、何が悪いんだ?」あきれる鉄蔵。若旦那、鉄蔵に平伏して懇願する。「どうか、おこよさんをお嫁にください。悪いこととは知りながら、どうしてもおこよさんを思い切れないのです」途方にくれる鉄蔵。そこへ茂作がふらふらと出てきた。「あにやん、もういいよ。おこよは、若旦那の嫁になればいい。人間、好きな人と暮らすのが一番だ」
「お前、それでいいのか」「よかあねえけど、しかたあんめえ・・・」と、憔悴極地の風情。かくて、若旦那とおこよの結婚は確定的となった。茂作「じゃあ、もう、おれ帰るわ。もうあにやんの所にはこねえよ」「どうして?」「だって、おこよが他所に嫁に行けば、もうあにやんではなくなるもの」「そんな、水くせえこというな。おれとお前は今まで通り、兄弟だ」「本当か、また来てもいいのか?」「ああ、いいともさ」「ありがてえ・・・」というところで幕が降りるかと思えば、意外にも、若旦那の兄、村人に案内されて颯爽と登場。「村一番の貧乏人の家とはここですか。もし、村一番の貧乏な人!、ちょっとごめんなさいよ」呼びかけに出てくる鉄蔵、若旦那、おこよ。兄は、いきなり若旦那を叱りつける。「お前、こんなところで何をしているんだ。材木の目利きに旅立ったまま音信不通。心配して探しに来たんだ」経緯を説明、おこよとの婚約を報告する若旦那。しかし、兄は応じない。「何を血迷ったことを!こんな貧乏人の娘を嫁にできるわけがない。行き倒れのお前を助けたのだって『金目当て』に相違ない。いったいいくら欲しいんですか」鉄蔵、頭に来た。「あんたたちにはわからねえ。金では買えない『義理人情』という大切な宝物があるんだ!」と、精一杯の啖呵をきるが、相手には通じない。生木を裂かれるように引き離される若旦那とおこよ、元通りおこよを嫁にもらえることになり大喜びの茂作、なんとも複雑な心境の鉄蔵、若旦那の悲痛な叫び「おこよさん、あの『十三夜』の晩のできごと、私はいつまでも忘れません」、おこよも必死に応じる。「若旦那、あの『十三夜』の晩のできごと、ずっと、ずっと憶えていてくださいね!」という叫びのうちに閉幕となった。
 この芝居の眼目は「義理人情」を超えた「不条理」(悲恋)の世界に及んでいる。なるほど、関東の「人情劇」も、ここまでくれば「天下一品」といえるだろう。私は深い感銘を受けた。旗丈司、金井保夫、春野すみれ、深水つかさといった「名優」に混じって、二代目・小林志津華の「拝金主義」ぶりも光彩を放っていた。
 舞踊ショーの感想。小林志津華の舞踊を中心に構成されている。舞踊の「実力」は「水準」並、「長良川艶歌」を「立ち役」で踊る「試み」はよいと思う。ただし、歌詞の内容は「女唄」なので「一工夫」することが肝要。つまり、女が思い描いている「男」を描出できるかどうか、が決め手になるだろう。そういう観点から観ると「まだ中途半端」の感があった。深水つかさ、春野すみれの「舞踊」、旗丈司、金井保夫の「歌唱」はすべて「一級品」、かつての「千住寿劇場」の舞台を思い出しながら、なつかしく、また「隔世の感」をもって鑑賞することができた。子役・かずきの「舞踊」も基礎・基本に忠実、「決まった場面」で、客と目線を合わせることができれば「一級品」になること間違いない。大和直斗、大和歩夢、雲井松美の「舞踊」も「型どおり」にこなしている。歌詞を踏まえた「表情」が加われば、魅力が倍増するだろう。
 小屋の表看板に「辻野光男」という懐かしい名札を見つけて、涙が出てきた。今は昔、「千住寿劇場」「篠原演芸場」で何度その幟を目にしたことだろうか。しかし、今回、その舞台姿を観ることができなかったことは誠に残念である。
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(2004/07/07)
幸田弘子

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