META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 劇団素描・「紅劇団」・《芝居「瞼の母」、会長・紅あきらの「油断」》
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2023-12-12

劇団素描・「紅劇団」・《芝居「瞼の母」、会長・紅あきらの「油断」》

【紅劇団】(総座長・紅大介)〈平成27年10月公演・小岩湯宴ランド〉
 芝居の外題は、大衆演劇の定番「瞼の母」。この芝居をどのように演じるか、それで「劇団の実力が決まる」と、私は思っている。開幕まで時間があったので、私は配役を考えた。番場の忠太郎・紅大介、水熊のお浜・紅あきら、お登世・紅このみ、夜鷹おとら・大倉扇雀、素盲金五郎・見城たかし、板前・紅秀吉、素浪人用心棒・紅悠介。そして主題曲は「瞼の母」(京山幸枝若、島津亜矢、杉良太郎、中村美律子)又は浪曲(二葉百合子、中村富士夫)・・・。しかし、その予想は見事に外れたのである。開演前のアナウンス「紅あきら主演・・・」そうだったのか。では、お浜は誰がやる・・・?などと思ううちに幕が開いた。一景は料亭・水熊の店先。今しも夜鷹・おとらが店内に入ろうとしてつまみ出された。つまみ出した板前は、後見・見城たかし、おとらは大倉扇雀・・・。被り物を取ったおとらの顔を見て板前「ややっ、お前は夜鷹のおとら!」「ふん、そう言うところをみると、お前さん、私の客だったんだね」「バ、バ、バカを言うな」というやりとりが魅力的だった。さすがはベテラン同士!「こんな汚ねえ婆に用はない、とっとと消え失せろ」と突き飛ばそうとすれば、「待て!」と言って、番場の忠太郎の会長・紅あきら颯爽と登場。「おばあさん、怪我はなかったかい」「ハイ、ありがとうございました」と語り合う。歳のこと、倅のこと、故郷のことを聞き出すうちに、忠太郎は水熊の女将が江州出身であることを突き止めた。「久しぶりに人間扱いされた。これから倅の墓参りにまいります」と感謝するおとらに忠太郎は小判を与え、「そんな商売から身を洗って、これからはのり商いでもはじめなせえ」と優しく送り出した。「ありがとうございます」と何度も頭を下げながら退場するおとらの姿は絶品、この絡みを見聞できただけでも望外の幸せであった。私がこれまでに観たおとらの中では群を抜いた舞台姿であったと思う。それにしても、この大倉扇雀という役者はただものではない。女将、女親分、老婆はもとより、侠客、侍、老爺などの立ち役までも、「声音を変えて」見事にこなす。あの名人・喜多川志保に勝るとも劣らない実力の持ち主であることを、私は思い知らされたのであって。(さぞかし、舞踊ショー舞姿も艶やかであろう)そのおとらを見送った後、忠太郎、逡巡しながらも意を決して水熊屋に飛び込んで行ったのだが・・・。二景の景色を見て、私の力は一気に脱けてしまった。何と、何と、お浜を演じるのは総座長・紅大介であったとは!、・・・それはないでしょう。大介が「精一杯」お浜を演じていただけに、このミス・キャストは残念でならない。どう考えても、父親が息子に向かって「おっかさん!」と叫ぶ姿は不自然である。それを「芸の力」で補うのが役者の宿命(真髄)であったとしても、もし忠太郎を演じるのが秀吉であったなら、私は十分にうなずける。しかし、紅あきらは同魂会会長を務める大御所である。貫禄が違うのである。紅あきらが「おっかさん!」と言って胸を借りられるのは大倉扇雀をおいて他にはあるまいに。かくて、本日の舞台は、紅あきらの「独断的」独壇場、「一人芝居」に終わってしまった、と私は思う。いうまでもなく、芝居は一人ではできない。その一人を支える相手役との呼吸、さらには脇役陣とのチームワークが不可欠なのである。紅あきらの演技力がどれだけ素晴らしいものであったとしても、一人だけでは「空回り」、その素晴らしさが半減してしまうのである。本日の主題曲も、私の予想に大きく反して「百年の恋」(歌・三浦和人、詞・伊藤薫、曲・三浦和人)であった。詠っていわく「もしもできるものなら ふる雨になり あなたの眠りにつく 窓に流れてみたい 思うだけで切ない あなたのことは・・・」。そう言われても、この舞台の「あなた」は母親であって「恋人」ではないのである。配役のミス・キャスト同様に、「性愛」と「母性愛」を混同したミス・マッチとしか私には思えない。この選曲もまた、会長・紅あきらの「独断」によるものかもしれない。「独断」はリーダーとしての魅力を存分に発揮することも多いが、時として「油断」につながる虞もあるので、くれぐれも御注意を!、などと身勝手なことを考えてしまった。
 第二部・舞踊ショー、大倉扇雀の舞姿を一目拝みたかったが、出番はなかった。



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