META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 浪曲特選・女流浪曲師・大利根勝子の十八番「田村操」の《眼目》
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2023-03-21

浪曲特選・女流浪曲師・大利根勝子の十八番「田村操」の《眼目》

 女流浪曲師・大利根勝子の十八番に「田村操」という作物がある。時は明治、ある法律家には二人の娘がいた。姉は25歳、妹は22歳。法律家は妹を呼んで「おまえも、もう年頃、好きな男を見つけて夫にするがよい。その青年にこの家を継がせよう」などと言って、「品定め」に入った。白羽の矢が立ったのは、この家に住み込んでいる書生・田村操という好青年であった。「彼だったら申し分ない」と、法律家、大いに満足したが、妹は不審の様子。「でも、私にはお姉様がいます。お姉様の縁談の方が先ではないでしょうか」「なるほど、おまえがそう思うのはもっともな話・・・ 」。法律家、あたりを憚りながら、声を細めて曰く「ここだけの話だが、姉は今から25年前、玄関先に捨てられていたのだ。子どもがいなかった母さんと私は、その子を拾って「わが子」のように育てた。その後、おまえが生まれて「妹」になったが、この家を継ぐのは実子であるおまえの方なのだよ」。しかし、壁に耳あり障子に目ありで、この話は、すべて姉に聞かれてしまった。しかも、間の悪いことに、姉もまた、田村操という好青年を慕っていたのだ。すぐさま、姉は田村の居室に赴き、直接談判に及ぶ。「田村さん、私はあなたを愛しております。どうか、私をお嫁にもらって下さい」。寝耳に水の,田村操、「待って下さい。私はまだ書生の身、まして先生のお嬢さんなどと一緒になれるわけがありません」と断ったが、姉の気持ちは収まらない。刃物を持ちだして「私の話を聞いてくれないのなら、あなたを殺して私も死ぬ」と斬りかかる始末、「危ない!やめて下さい」などと揉み合ううち、騒ぎを聞いて、駆けつけてきた法律家、「いったいどうしたのだ?」。姉曰く「お父様、田村さんが、私にお嫁になれ、言うことを聞かなければ殺す、といって襲いかかってきたの。人殺し!」その豹変ぶりは、迫力満点、あらためて「女の恐ろしさ」を再認識させられる場面として、際立っていた。「何ということを!この恩知らずが、出て行け!」と激昂する法律家を前にして、あっけにとられた田村操、「いえ、先生、違います」と抗う気持ちを、ぐっとこらえて辛抱する。「わかりました。申し訳ありません。大変お世話になりました。私はお暇いたします。いつまでもお元気で、ありがとうございました」と言って退去したのだが、収まらないのは妹も同様・・・、必死で田村操の後を追う。その後の展開や如何に?といったところで「ちょうど時間となりました。チョト一息、また口演」となるのが、(浪曲の)定番だが、大利根勝子嬢は、結末まで詳細に語ってくれた。しかし、今、私はそれを思い出すことができない。かくて、この作物の眼目は(私にとって)「不条理」以外の何ものでもないという結果になるのだが・・・。それにしても、この「田村操」という人物、斯界では「有名」だが、現代の巷間では全くの「無名」である。なぜだろうか。(2013.8.10)
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