META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 劇団素描・「たつみ演劇BOX」・《辰巳龍子と葉山京香の「至芸」二つ》
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2023-05-25

劇団素描・「たつみ演劇BOX」・《辰巳龍子と葉山京香の「至芸」二つ》

【たつみ演劇BOX】(座長・小泉たつみ)〈平成25年7月公演・浅草木馬館〉
本日は「お芝居二本立て」という趣向で、前狂言は時代人情劇「闇の捕縄」。早縄の新太郎と言われた新太郎(座長・小泉たつみ)は、病が高じて盲目の身、今では育ちそびれた妹のおすえ(辰巳花)が長屋の雑用をする駄賃で細々と暮らしている。おりしも、町中は大捕物の真っ最中、はやぶさ小僧と異名を取る盗賊・幸太郎(座長・小泉ダイヤ)と女(辰巳小龍)が、鳥越の親分(宝良典)一党に追い詰められている。たまたま居合わせた新太郎、子分の一人(大蔵祥)に「呼び子笛」の吹き方など伝授しているところに親分登場、両者再会を喜び合って別れた。新太郎、帰宅してまもなく親分再登場、「お上が十手持ちに再任用してくれる」という願ってもない話、給金をもらえれば目を治すことができるのだから。親分と新太郎、欣然として退場。入れ替わりに、逃げ込んできたのがはやぶさ小僧の幸太郎、留守番のおすえを一目見るなり「おまえは、おすえ」、幼いときに別れた妹であることを確信する。さすれば、新太郎、幸太郎、おすえの三人は兄弟妹であったのか。といった筋書きで、眼目は一に、新太郎・幸太郎の「兄弟愛」、二に鳥越親分の「温情」、三に盗賊幸太郎の「恩情」、三者三様の「人情模様」が映し出され、見事な出来映えであった、と私は思う。切り狂言、外題は「生きた幽霊」。大店の若旦那(座長・小泉たつみ)が
放蕩三昧、連れ戻しに来た番頭(座長・小泉ダイヤ)が一計を案じ、若旦那が見初めている芸者(辰巳小龍)に「心中話」を持ちかける。胃薬を手渡しながら「この薬を毒薬と見立て、芸者の前で飲んでみせなさい。芸者も一緒に飲んでくれれば、芸者の真心は本物」、よっしゃと若旦那、言われたとおりにしてみたが、芸者は飲む振りをしただけ、死んだふりをする若旦那に「バカ旦那!金の切れ目が縁の切れ目、あんたなんかに用はない」というと、奥にいた間夫(愛飢男)と一緒に立ち去った。だまされた若旦那、幽霊になって芸者と間夫に復讐するという喜劇だが、「喜劇ほどむずかしいものはない」。贔屓筋は、座長のメイク、ギャグ、一挙一動を可笑しがって嬌笑するのだが、役者もまた、それにつられて「笑いを取りに行く」、結果、本筋の面白さが雲散霧消してしまう、といった案配で、私には興ざめな場面が多かった。さて第三部「花のグランドショー」は、いよいよ本日のお目当て、葉山京香の個人舞踊が観られるかどうか。私の胸は高鳴った。まずその前に、劇団舞踊指導・辰巳龍子の「お吉花無情」(曲・市川昭介、詞・水木れいじ、唄・笹みどり)を見聞できたことは望外の幸せであった。彼女自身、劇団オフィシャルウェブサイト「座員紹介」の中で、〈私のココを見て〉「舞踊」(ほとんど出てないけど)〉と記しているとおり、その舞姿を拝見できるなんて夢のよう・・・。その中には「らしゃめんお吉」の哀しさ、あわれさ、悔恨が、否応なく浮き彫りされて、珠玉の名品に仕上がっていた。その芸風は、淡泊で華麗、愛娘・辰巳小龍へと着実に引き継がれている。舞台はいよいよ大詰めラストショーへと変わる寸前、葉山京香は燦然と現れた。曲目は「さんさ恋時雨」(曲・岡千秋、詞・石本美由紀、唄・美空ひばり」。私はこれまで「酒場川」(唄・ちあきなおみ)、「愛燦々」(唄・美空ひばり)、「命くれない」(唄・瀬川瑛子)、「最上川恋唄」(唄・音羽しのぶ)、「ふるさと恋唄」(唄・石原詢子)の舞台を見聞してきたが、今回の「さんさ時雨」は圧巻、これまでの「夢二風」「おばこ風」に加えて、熟女の「歌麿風」とでもいおうか、まさに「浮世絵が動き出した」といった景色で、その妖艶な風情は、筆舌に尽くしがたい。表情(時折、見せる笑み)、歩様、一つ一つの所作が「流れるように」連なって、寸分の隙もない。歌詞にいわく「恋の残り火港の灯り 消えりゃ心も闇になるさんさ時雨かみれんの雨か さんささんさと濡れかかる 想うまいよと瞼を閉じりゃ 閉じた瞼にうかぶ影 さんさ降れ降れ涙のしぐれ とても独りじゃ眠れない 肌が寒くて眠れない 山に埋めよか野に捨てようか 海に流そかこの恋を さんさみちのく情けの港 逢う日待とうと啼くかもめ 待てば逢えると啼くかもめ」。みちのくの祝い唄を、悲恋の艶歌に模様替えした美空ひばりの歌声はお見事、その歌声は葉山京香の「舞」によって、さらに「浮世絵」(美術作品)へと変貌する。いったいぜんたい、この熟女の「想うまい」として「閉じた瞼にうかぶ影」とは、どんな人物(男)であろうか。その判然としない実体に、ふと嫉妬感さえおぼえるほどの出来映えであった。事実、私の後の席に陣取った男性客一人、それまでの無反応な気配が一変、渾身の拍手を送っていたことが、その証しである。女優・葉山京香が舞台に登場するのはたった1回、わずか三分間のドラマに、これまでの全てを凝縮して描出しようとする「役者魂」に、私は心底から敬服・脱帽する。今や、彼女の「至芸」は、「斯界の至宝」にまで昇華しつつあることを確信したのであった。そしてまた、彼女が師と仰ぐ辰巳龍子の至芸も堪能できたことは望外の幸せ、大きな元気を頂いて帰路に就くことができた次第である。感謝(葉山京香座右の銘)。
さんさ恋時雨/哀恋歌さんさ恋時雨/哀恋歌
(1998/12/19)
美空ひばり

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