META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 劇団素描・「劇団朱光」・《芝居「雨の他人舟」は斯界屈指の名作》
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2023-08-23

劇団素描・「劇団朱光」・《芝居「雨の他人舟」は斯界屈指の名作》

【劇団朱光】(座長・水葉朱光)〈平成23年12月公演・小岩湯宴ランド〉
芝居の外題は「雨の他人舟」。幕が上がると、そこは金沢の浜(横浜~平塚間)。おりしも雷鳴轟く時化の海を見やりながら、一人の男(水谷研太郎)・が「おせん!おせん!」と叫びつつ登場。名前は五郎蔵、26歳との由。続いて登場した網元(潮美栄次)に向かって曰く、「おい、網元、この嵐を早く止めろ」「そんなむちゃな」「俺の大事なおせんちゃんが海に潜っているんだ、何かあったらどうするんだ」「おせんちゃんはお前の何なんだ」「俺が26年間、思い続けている大切な人だ」「気の毒だが、嵐はどうにもならねえ」などという間に、幸い嵐はおさまった。五郎蔵は、おせんを探しに退場。入れ替わりにやってきたのが3人のヤクザ者(水澤拓也、水嶋隼斗、水咲鷹洋)、「このあたりに宿はねえか、無ければお前の家に泊まらせろ」と、網元に迫った。「そんなことはできません」と言えば、殴るけるの乱暴三昧・・・、助けに入ったのが浜の長老・源爺(舞阪錦)、たちまち3人をねじ伏せる。その強さにとてもかなわないと思ったか、3人のヤクザ者、かしこまって一人ずつ名を名乗る。ところが、二人目のヤクザ、「あっしの名前は・・・」と言ったきり絶句、一人目に助けを求める。一人目、小声で「デンシチ」と教えれば、二人目は、恥ずかしそうに「あっしの名前はデンシチと申します」。源爺、あきれて「おい、その真ん中!自分の名前を忘れてどうする!」。三人、恐れ入って退場するが、その引き際に二人目のヤクザ、yもう一度、源爺に向かって、今度はきっぱり「あっしの名前はデンシチと申します」とだめを押す。この3人は、まだチョイ役の新人、舞台の大筋にかかわりのない場面と思われがちだが、とんでもない。芝居全体の眼目を暗示する重要な役割を担っていたのであった。やがて、五郎蔵、再び叫び声を上げながら再登場。「大変だ!おせんちゃんが、変なものを拾ってきた!」。さて、ようやく主役・素潜りの海女・おせん(座長・水葉朱光)登場、見れば、男(花形・水廣勇太)を抱きかかえている。どうやら、海の中で溺れていたらしい。源爺が介抱、水を吐かせると、気がついた。一同、「どうしたんだ、お前さんは誰なんだ、名前は?」などなど尋ねるが、男、きょとんとして、応えられない。頭を抱えて「私はいったい誰なんだ・・・、思い出せない」と呻吟するうちに一景は幕となった。そうか、あの新人ヤクザの「トチリ」(名前忘れ)は、この場面の伏線であったのか。私は、その舞台演出の見事さに、度肝を抜かれてしまったのである。続いて二景は一年後、助けられた男は、今では浜吉と命名されて、おせんの夫に・・・。浜でもお似合いの夫婦だと評判になっている。面白くないのは五郎蔵、どうにかしてやりたいが、「どうにもならないのが男女の仲」と、源爺に諭されている。海で働くおせんのために、家事一切は浜吉の仕事、とりわけ「お茶を入れる」技に秀でていた。五郎蔵、男前でも仕事でも「浜吉にはかなわねえ」とあきらめたか・・・。今は今だが(愛し合って幸せだけど)、どうしても浜吉の過去を知りたい(浜の衆と)おせん。過去には全く無頓着な浜吉との対照が(観客・私にとっては、これからどうなるだろうという)趣深い景色を醸し出す。しかし、幸せはいつまでも続かなかった。浜に訪れたのは一人の老人(梅沢洋二朗)、聞けば、江戸で米茶を商う大店・伊豆屋の大番頭で、1年前、仕入れの途中で行方知れずになった御主人様を訪ね歩いているとのこと、おせんと、居合わせた源爺、「そんな人はここにはおりません」と断るが、大番頭「この浜で見かけた人がいる。旦那様はいるはずだ、一目合わせてください」と押し問答、騒ぎを聞きつけて奥から出てきた浜吉とばったり鉢合わせとなった。「あつ!やっぱり旦那様だ!」と縋りつくのを、浜吉「誰ですか、あなたのことなんか知りません」。大番頭、外に待たせておいた奥様・とよ(朱里光)とお嬢様・おみつ(朱里渚)を招きいれ、対p面すれば、おみつ「お父様」と言ったきり、泣きじゃくる。とよ「旦那様、探し続けておりました」。しかし、浜吉は思い出せない。「あなたたち誰ですか?私には覚えが無い、帰ってください」と突き放す。おせんもまた「何を証拠にそんなことを・・・」と立ち向かうが、その表情は、だんだんと氷のように固まって「もしかして・・・、来るべきときが来てしまったか・・・」という気配。(その無言の演技が素晴らしかった)とよもまた、表情の力が抜けて、断念「そうですか、お父様は思い出してはくださいません。あきらめて江戸に帰りましょう」、その途端に、娘のおみつ、おせんに突進して「ドロボウ!私のお父様を返して!」と手を上げる。呆然と見つめる浜吉に向かっても「お父様、私と一緒に帰って」と必死に取りすがるが、無反応な父親の様子に耐えられず、客席に向かって「お父様は、本当に思い出せないんだ」と号泣するする姿は、まさに子役(の演技)の鏡、最高の風情であった。観客一同、(拍手も忘れて)水を打ったように静まり返る。一同が去った後、おせんの心は決まった。浜吉は江戸の大店・伊豆屋の旦那様に間違いない。「そのことを、どうしても思い出させなければ・・・」、呼び寄せた五郎蔵に耳打ち、浜吉を連れ出してを時化の海の中に突き落とす。1年前と同様に、それを助けあげたおせん、水を吐かせた源爺、見守る五郎蔵の前で、浜吉は自分の名前を思い出した。「そうだ、私は伊豆屋の清太郎、女房はおとよ、娘はおみつ。おせんさん、あなたの御恩は忘れない。でも、あなたの名前は(私の妻として)人別帳に載っていない。私は江戸に帰らなければならないのだ」という言葉を残して、そそくさと退場。残されたのはおせん、源爺、そして五郎蔵・・・。男たち曰く「どうして、こんなことしたんだ。何もしなければ、今までどおり幸せな暮らしを続けられたのに・・・」女曰く「私はねえ、何もかもわかった上で、浜吉に愛してほしかったの・・・」。こらえきれず、後姿で嗚咽する名優・水葉朱光を覆うように、あの音曲「他人船」(歌・三船和子)が流れ出す。「ああ、この黒髪の先までが、あなたを愛していたものを 引き離す引き離す・・・」という一節が、ひときわ舞台模様を彩る中、この名作は終演となったのである。けだし、「男と女の物語」、眼目は「無常」という余韻を残して・・・。
 今日の舞台、私の(独断と偏見による)感想を述べれば、大衆演劇界屈指の「名作」であった。3年前に比べて「劇団朱光」の実力・魅力が「おお化け」(大成長・大躍進)したことは間違いない。その要因(源泉)は何だろうか。一に、後見(座長の祖父)・梅沢洋二朗の経験・伝統を踏まえた教育力・指導力であろう。二に、その薫陶を素直に受け続けた座員一同の学習力であろう。三に、座長・水葉朱光を筆頭にした「熱意」と「サービス精神」であろう。四に、つねに努力・精進を怠らない「劇団」の謙虚さであろう。今月初日、座長が口上で曰く、「私たちにとって、浅草木馬館、十条篠原演芸場、そしてここ、小岩湯宴ランドの舞台にのることが夢でした。今、その夢が叶えられて、こんなにうれしいことはありません」。そのうれしい気持ちが、直接、観客に伝わるのである。舞台は「水物」、その成否は、ひとえに役者と観客の「呼吸」に因ると思われるが、(役者の)「演じる喜び」と((観客の)「観る喜び」が重なったとき、名作(名舞台)が誕生する、と私は確信する。終演後の「送り出し」は、座長を筆頭にほぼ全員が1階玄関 まで、その後、各階を回って「ありがとうございました」と、感謝の言葉を述べる。その姿は、「客に媚びる」代物とは無縁、館内全域が爽やかな空気で洗われるような心地がする。今後、ますますの発展を祈りたい。
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