META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 劇団素描・「鹿島順一劇団」・《芝居「大江戸裏話・三人芝居」「人生花舞台」の名舞台》
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2022-12-28

劇団素描・「鹿島順一劇団」・《芝居「大江戸裏話・三人芝居」「人生花舞台」の名舞台》

【鹿島順一劇団】(平成20年2月公演・川越三光ホテル・小江戸座)
 芝居の外題は、昼の部「大江戸裏話・三人芝居」、夜の部「人生花舞台」。
前者は、もう店じまいをしようとしていた、夜泣きうどんの老夫婦(爺・蛇々丸、婆・座長)のところへ、腹を空かした無一文の遊び人(虎順)がやってくる。うどんを三杯平ら上げた後、「実は一文無し、番屋へ突き出してくれ」という。驚いた老夫婦、それでも遊び人を一目見て「根っからの悪党ではない」ことを察する。屋台を家まで運んでくれと依頼、自宅に着くと酒まで馳走した。実をいえば、老夫婦には子どもがいない。爺が言う。「食い逃げさん、頼みがあるんだが・・・」「なんだい?」婆「お爺さん、ただという訳にはいかないでしょ」と言いながら、大金の入った甕を持ってくる。「それもそうだな、食い逃げさん、一両あげるから、頼みを聞いちゃあくれないか?」「えっ?一両?」今度は遊び人が驚いた。「一両もくれるんですかい?ええ、ええ、なんでもやりますよ」爺「実はな、私たち夫婦には子どもがいないんじゃ、そこでどうだろう。一言でいいから『お父っつあん』と呼んではくれないか?」「えっ?『お父っつあん』と呼ぶだけでいいんですかい?」「ああ、そうだ」「そんなことなら、お安い御用だ。じゃあ言いますよ」「・・・」「お父っつあん」「・・・、ああ、やっと『お父っつあん』と呼んでもらえた」感激する爺を見て、婆も頼む。「食い逃げさん、二両あげるから、この婆を『おっ母さん』と呼んではくれまいか?」小躍りする遊び人「ええ、ええ、お安い御用だ。それじゃあ言いますよ、いいですか」婆「・・・」「おっ母さん!」「・・・」婆も感激して言葉が出ない。つい調子に乗って爺が言う。「今度は、あんたを叱りたい。あたしが叱ったら『すまねえ、お父っつあん、もうしねえから勘弁してくんな』と謝ってはくれまいか。礼金は三両あげましょう」喜んで引き受ける遊び人、婆も四両出して叱りつけた。そして最後にとうとう爺が言い出す。「どうだろう、食い逃げさん、この甕のなかの金全部あげるから、私の言うとおり言ってはくれまいか」「・・・?」「『お父っつあん、おっ母さん、おめえさんたち、いつまでうどん屋台を引いてるつもりだ、オレがこうして帰ってきた以上、後のことは全部任せて、もう止めたらどうだい』ってね」指を折って懸命に憶えようとする遊び人「ずいぶん長いな。でも、だいじょうぶだ。・・・じゃあ、いいですか。言いますよ」瞑目し、耳をすます老夫婦。遊び人、思い入れたっぷりに「お父っつあん、おっ母さん、おめえさんたち二人いつまでうどん屋台を引いてるつもりだ。・・・」の名台詞を披露する。かくて、大金はすべて甕ごと、遊び人のものとなった。大喜びの遊び人「ありがとうござんす、これで宿屋にも泊まれます。あっそうだ、さっきのうどん代、払います」と一両小判を爺に手渡した。「こんなにたくさん、おつりがありませんよ」「とんでもねえ、とっておいておくんなせい。それじゃあごめんなすって」意気揚々と花道へ・・・、しかし、なぜか足が前に進まない。家に残った老夫婦の話に聞き耳を立てる。爺「お婆さん、本当によかったね。どんなにたくさんのお金より、子どもを持った親の気持ちになれたことがうれしい。あの人がくれた一両で、またこつこつと暮らしていきましょう」遊び人、矢も楯もたまらず引き返し、哀願する。「さっきもらったこの金はあっしのもの。どう使ってもよろしいですよね」あっけにとられる老夫婦、顔をみあわせて訝しがり「・・・・?、はいはい、けっこうですよ」遊び人「・・・、この金、全部あげるから、おめえさんたちの子どもとして、この家に置いてください」と泣き崩れた。どこかで聞こえていた犬の遠吠えは「赤子の産声」に、そして舞台・客席を全体包み込むようなに、優しい「子守唄」で幕切れとなった。
 幕間口上の虎順の話。「一両って、今のお金にするとどれくらいだと思いますか。だいたい六万円くらいだそうです。一言『お父っつあん』で六万円ですからね、大変なことだと思います」その通り、老夫婦の全財産(数百万円)よりも「親子の絆」が大切という眼目が、見事なまでに結実化した舞台だった。
 後者は、「人生花舞台」、大衆演劇の定番で、私は、昨年「澤村謙之介劇団」の舞台を見聞している。主役の爺(座長)は、元歌舞伎役者、師匠の娘と駆け落ちし一子をもうけるが、妻子は連れ戻され、今は落ちぶれたその日暮らしの独り者、むさくるしい身なりで、清水一家に乗り込んできた。「親分と一勝負したい」と言う。次郎長親分(花道あきら)が訳を尋ねると、「掛川の芝居小屋で、二十年前に別れた一子が興行している。親子名乗りはできないが、せめて、幟の一本でも贈ってやりたい」事情を察した親分、清水での興行を企画、爺を「御贔屓筋」(網元)に仕立て上げた。興行は成功、打ち上げの席で爺と、一子・今は襲名披露を控えた花形役者(春大吉)は再会する。大きく成長した一子の姿に眼を細め、それとなく愛妻(一子の母)の消息をたずねる爺の風情は格別であった。  
 芝居のクライマックスは、次郎長親分に勧められて一子がひとたち舞う「艶姿」であろう。しかし、酷なようだが、今の春大吉には荷が重すぎた。爺の風情が格別であるだけに、「舞姿」は「珠玉」でなければならない。もし、一子・蛇々丸、代貸大政・春大吉という配役であったなら、また違った景色の舞台になったのではないだろうか。身勝手な蛇足を加えれば、前者(「大江戸裏話」の爺を梅乃枝健、後者の一子を蛇々丸という配役がベストであった、と私は思う。いずれにせよ、舞台は水物、爺のセリフ「役者の修業に終わりはない」という至言は、座長自ら座員に伝えたかったメッセージに違いない。それに応えようと日々精進する座員各位の努力は見せかけではない。その姿に私は脱帽し、今後ますますの充実・発展を祈念する。

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(2009/10/21)
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