META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 劇団素描・「風美劇団」・《芝居「姥捨山」は「大スペクタクル」》
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2023-05-13

劇団素描・「風美劇団」・《芝居「姥捨山」は「大スペクタクル」》

【風美劇団】(座長・風美涼太郎)〈平成22年3月公演・柏健康センターみのりの湯〉

この劇団の太夫元・風美翔蔵は斯界でも異色(貴重)な存在である、と私は思う。彼の略歴は以下の通りである。〈昭和33(1958)年5月18日生まれ。静岡県出身。血液型A型。地元の高校を卒業後大学入学の為上京。わずか数ヶ月で中退後、新宿コマ劇場にて床山修業に入る。かたわら大衆演劇に出入りするようになり、平成2(1990)年岐阜県郡上八幡にて演劇集団・大江戸新喜劇を旗上げ初代座長として活動を開始。平成6(1994)年新たに風美劇団とし涼太郎を二代目に据える。斬新かつ奇抜なオリジナリティーな舞台作りをするもテーマを常に心とし、舞台を離れた私生活においても双子の永吉・玄吉をはじめ後進の指導にあたる日夜奮闘する。戦うオヤジである〉(「風美翔蔵 戯曲集」イング出版・2007年)舞台の景色をを記録したDVDを制作・市販している劇団は珍しくないが、戯曲集を出版するなどは皆無、帯の紹介にも「大衆演劇界“初”の戯曲集が単行本に」と銘打たれている。今日の芝居は、そこに収録されている特選狂言、外題は「風美版姥捨て山」であった。定番通り貧村の百姓が老母を「山に捨てに行く」悲話かと思いきや、なんと、母思いの百姓・与吉(座長・風美涼太郎)と老母・おしも(藤千和子?)が1年後に「再会」を果たすという筋書で、まさに「斬新かつ奇抜でオリジナリティー」溢れる舞台であった。とりわけ、再会の手引きをする旅僧・金寛(太夫元・風美翔蔵)の風情が絶品。およそ大衆演劇臭さのない容貌で、「棒立ち」「棒ゼリフ」のまま観客を惹きつける。金寛の説教、仏道の根本を述べながら「南無阿弥陀仏、弥陀の呼び声、世は無情、真実は常に真実として、ゆるぎない心の動くそのままに、今こそその地へ行くがいい。成せばなる、成さねばならぬ、何事も。梨は木になり、茄子は畑になるもんじゃ。天は人の上で人を作り、人の下で人を作る。後からもなお作る。心に愛がなければ、どんなに美しい言葉も相手の胸に届かない。ガマ口に金がなければ、どんなに旨い食い物も、自分の口には届かない。親の心、子知らず、ねずみの心、猫いらず・・・」といった調子が、よどみなく続く。台詞を聞いているだけで「抱腹絶倒」は間違いなし、その飄々とした語り口は「至芸」に値する。芝居の眼目は「母と子の奇跡の絆」、その絆が今でも結ばれている(老母は生きている)」ことを、金寛の「棒ゼリフ」が暗示する。キーワードは「通じておるぞう、ぞうのう、うみねこ、こ、こぐま、ま、まんとひひ、ひ、ひよこ、こ、こまどり、り!」という謎かけの「しりとり」問答。与吉「り!」と問いかけられて、「り?リス」とすかさず答えたのを聞き、(御名答!の鈴を鳴らして)「通じておる。通じておる。・・・」と繰り返すあたりは名場面。その「絡み」がなんとも可笑しかったが、一方、常に「心」(愛)をテーマにした舞台に出会え、なぜか涙が止まらなかった。圧巻は、大詰め、老母が捨てられた野面あたりであろうか、耳をつんざく大音響、閃光とともに、暗転、「2001年宇宙の旅」のBGMの中、気がつけば巨大なUFOが出現する。(セシル・B・デミルばりの大スペクタクル映画を鑑賞している心地であった)その扉が開いて老母・おしもがタラップから降りてくる。なるほど、1年半前、姥捨て山・千神の谷で、このおしもを救出したのは、21世紀初頭のUFOだったのか。そのハッピーエンドに心底から納得、元気いっぱいで帰路についた次第である。
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【風美劇団】(座長・風美涼太郎)〈平成22年3月公演・柏健康センターみのりの湯〉この劇団の太夫元・風美翔蔵は斯界でも異色(貴重)な存在である、と私は思う。彼の略歴は以下の通りである。〈昭和33(1958)年5月18日生まれ。静岡県出身。血液型A型。地元?...

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