META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 「劇団逢春座」・《芝居「浜の兄弟」の名舞台》
2ntブログ
QLOOKアクセス解析
2024-02-14

「劇団逢春座」・《芝居「浜の兄弟」の名舞台》

【劇団逢春座】(座長・浅井正二郎)〈平成27年6月公演・小岩湯宴ランド〉
 前回の舞台見聞の後、私は〈この劇団、小岩湯宴ランドは「初公演」、地元常連筋の意向が読めず「小岩はむずかしい」という座長の本音が窺われたが、大丈夫!、彼らは「目新しい劇団」の到来を待ち焦がれているのだから、一日一日を精一杯、全力で取り組めば「高評価」で終わることは間違いない。自信をもって前進していただきたい。〉と綴ったが、案の定、久しぶりに珠玉の名舞台を堪能することができた。
 芝居の外題は、時代人情劇「浜の兄弟」。浜には兄・直やん(座長・浅井正二郎)、弟・兼松(浅井雷三)という漁師の兄弟がいた。兄は漁の仕事に励んでいるが、弟は元気がない。兼松の本心は都会に出て商人になりたいからである。そのこと思い切って両親(神楽良・あやこ)に打ち明けた。父は反対したが、溺愛気味の母は同意して父を説得する。「兼吉は浜一番の利口者、読み書きそろばんを達者にこなすのだから漁師にしておくのはもったいない」。父も絆されて翻意したが、「直が聞いたら何と言うだろう。反対するに決まっている」、そこへ兄の直やんも帰宅した。両親から弟の本心を聞いて、直やんは猛反対、激怒する。でも兼松は諦めず、漁師仲間の積立金を持ち逃げして江戸へ向かった。それを知った漁師仲間も激怒、直やん一家は孤立した。以来5年、一家は懸命に働いて積立金を返済、兄は漁師から船大工に転職、今では隣の浜にも負けない大きな船を造れるほどに腕を上げている。家も別の場所に新築、およしという女房(浅井ゆき?)ももらって親孝行に励んでいたのだが・・・。折しも今日は新しい船が完成した進水式、漁師仲間の源さん(浅井優)が工賃100両を届けに来た。しかし、直やんの機嫌が悪い。弟の兼吉が浜に戻って来たという噂を耳にしたからだ。女房から100両手渡されてようやく機嫌が治ったところへ、ワイワイガヤガヤ、浜の連中に囲まれて兼吉が登場した。見れば紛れもない豪勢な商人姿になっている。直やんは怒り心頭、「どうして兼松を連れてきたんや」と浜の連中に八つ当たり、その剣幕に押されて一同はクモの子を散らすように退場。一人残った兼吉いわく「5年前は申し訳ないことをしました。あれから江戸に出て積立金を使い果たし、身投げをしようとしたところ、大店の山金屋さんに救われ、一生懸命働いて、今では一番番頭になりました。・・・ついては一つお願いがあります。旦那様は暖簾分けをしてお店を持たせて下さるとのこと、そのために100両のお金が必要です。どうか貸してもらえないでしょうか」。両親は小躍りして「よかった、よかった」と喜んだが、兄の直やんは許さない。「なにを身勝手なことを!お前のために一家がどれほど苦しんだか・・・。とうに兄弟の縁は切ってある。お前なんぞに貸す金は一銭もない。出て行け」。両親のとりなしで、どうにか兼吉は奥の部屋に引っ込んだが、直やんの気持ちは収まらない。「どこまで甘い親なんだ」とふて寝する。そこへ再び源さんがやってきた。「江戸の山金屋から頼まれて手紙を持ってきた」由、字を読めない両親は、ふて寝する直やんを起こして手紙を渡す。不承不承に読んでみれば「番頭の兼松が店の金100両を使い込んだので、お上に訴える」と書いてある。舞台は一瞬にして暗転、直やん苦渋にみちた表情で「それみたことか、あいつの根性は元から腐っている!親が甘いから、こんなことになるんだ」と言いながら、奥にいた兼松を呼び出して引きずり倒す。「お前は店の金を盗んだと手紙に書いてある。どこまで一家に迷惑をかけるつもりか!」なおも殴りかかろうとする直やん、必死に止める父と母、一言もなく固まって兄を見つめる兼吉、四者四様に、珠玉の涙が頬を伝っている。一息あって父が呟く。「悪いことは許されない。江戸に戻って罪を償うのじゃ・・・」まだ無言のまま頭を垂れ、その場を去ろうとする兼吉の背中に向かって、直やん「江戸の獄舎につながれて、その腐った根性をたたき直してくるがいい、ホラ、忘れ物だ!」と言いながら風呂敷包みを手渡した。兼吉、悄然として退場すれば、入れ替わりに源さん再登場、「網元さんが、さっきの工賃100両、都合で返してほしいと言っている」「わかった、後で届けると言ってくれ」「今、すぐ持ってこいだと」「今、ここにはないから後で届けると言うとるんじゃ、ボケ!」と追い返す。それを聞いていた両親、さっきの100両があるのではと訝れば「兼松の包みに入れてやった。何と言ってもかけがえのない弟、獄舎に入れるなんてオレはできない」。一見、頑固で一徹な直やんの心中には、親思い、弟思いの温もりが秘められていたことが判明、観客も含めた一同が安堵する。明るくなり始めた景色の中に女房のおよしが飛び込んで来た。「奥にこんなものがありました」。見れば300両の大金と兼松の置き手紙。「さきほどの手紙は私自身が書いたものです。兼吉は山金屋の主人になりました。このお金はお詫びの印、どうか心おきなくお収めください」。直やん、驚いて見る見る満面の笑みに変わる折も折、立ち去ったはずの兼松もまた大声を上げながら駆け込んで来たかと思うと、兄の与えた工賃100両がバラバラとこぼれ落ちる。兄の胸にしっかりと抱きしめられ号泣する兼松、浜の「兄弟愛」が見事に結実して大団円となった。
 今日の舞台、座長を筆頭にそれぞれの役者が十二分に実力を発揮、寸分の隙も無い名場面の連続であった。中でも、浅井雷三の「抑えた」「受け身」の演技は、一際、光彩を放っていた。「不動の表情」を貫きながら、周囲とのかかわりの中で、悪になったり、善になったり、と「変化」(へんげ)する様を鮮やかに描出する。
 前回予期したとおり、今日もまた斯界屈指の「名舞台」を初見聞、大きな元気を頂いて帰路に就くことができた。感謝。



にほんブログ村 演劇ブログ 大衆演劇へ
にほんブログ村 
blogram投票ボタン

観劇 ブログランキングへ

ブログランキングNo.1
ブログランキングNO1

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

スポンサードリンク


プロフィール

e184125

Author:e184125
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
ブログランキングNO1
ブログランキングNO1