2023-10-02
劇団素描・「鹿島順一劇団」・《芝居「長ドス仁義」の演技は自然体》
【鹿島順一劇団】(平成20年2月公演・川越三光ホテル・小江戸座)
芝居の外題は、昼が「月の浜町河岸」、夜は「長ドス仁義」、いずれも大衆演劇の定番だが、この劇団が演じると、大衆演劇のレベルを遙かに超えてしまう。一般に「時代人情劇」などと呼ばれる芝居だが、まさにその「人情」が、役者の内面から「じわじわと」「滲み出てくる」ところに特長がある。それぞれの役者の個性が、「役どころ」(登場人物の性格)にぴったりはまり、舞台の随所随所で「蛍火」のように光り輝いている。夜の部の開演前、特別席の男性客(70歳代)三人が話している。「今日は、大入りはむずかしいね」「ウン」「大入りでないと役者さんもはりきらないだろう」「この前の劇団は32回も大入りを出したぜ」「なんせ、川越の客は目が肥えているから、半端な劇団じゃ無理だろう」「同じ芝居を2回は観ないもんなあ・・・」私は、この三人がどの程度「目が肥えているのか」興味津々であった。「長ドス仁義」の幕が開き、春日舞子、春大吉、登場、さらに、花道あきら、座長が登場して、三人の視線は舞台に釘付けになる。舞台は二景、蛇々丸、虎順、梅乃枝健、金太郎、赤胴誠(新人)も登場し、花道あきらとの「絡み」から目が離せない。いよいよ三景、蛇々丸と舞子の「絡み」、あきらの「愁嘆場」に涙する。そして終幕、見事、かわいい子分の仇を討ち終えた座長の「艶姿」に拍手の手を止めない。明るくなった客席で、一言、「よかったね」「ウン、うまい!」後は言葉がつながらなかった。「劇団」の実力は「集客能力」に比例しない。「いいものはいい」のである。
私は、他の劇団が演じる、同じ外題(内容)の芝居を何度も観ている。しかし、どこかが違う。何かが違う。それは、「型に秘められた心情表現の鮮やかさ」とでも言えようか。「型どおり」の演技の中に、それを演じている役者の「個性」が見え隠れしているところが「違う」のだと思う。この劇団の役者は(新人も含めて)、自分の「個性」(長所・短所)を知っている。「分をわきまえた」演技、「相手の個性を生かそうとする」演技に徹しようとしている。それが、「のびのびとした」「個性的で」「自信に満ちた」芸風を培っているのではないか。「人情劇」といえば、藤山寛美、美里英二、大川龍昇など「型」を全面に押し出す演技が定法だが、それを「自然体」で超えようとしているところに「鹿島順一劇団」の素晴らしさがあるのだ、と私は思う。
舞踊ショー、鹿島順一の至芸・「桂春団治」を観られたことは幸運であった。
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芝居の外題は、昼が「月の浜町河岸」、夜は「長ドス仁義」、いずれも大衆演劇の定番だが、この劇団が演じると、大衆演劇のレベルを遙かに超えてしまう。一般に「時代人情劇」などと呼ばれる芝居だが、まさにその「人情」が、役者の内面から「じわじわと」「滲み出てくる」ところに特長がある。それぞれの役者の個性が、「役どころ」(登場人物の性格)にぴったりはまり、舞台の随所随所で「蛍火」のように光り輝いている。夜の部の開演前、特別席の男性客(70歳代)三人が話している。「今日は、大入りはむずかしいね」「ウン」「大入りでないと役者さんもはりきらないだろう」「この前の劇団は32回も大入りを出したぜ」「なんせ、川越の客は目が肥えているから、半端な劇団じゃ無理だろう」「同じ芝居を2回は観ないもんなあ・・・」私は、この三人がどの程度「目が肥えているのか」興味津々であった。「長ドス仁義」の幕が開き、春日舞子、春大吉、登場、さらに、花道あきら、座長が登場して、三人の視線は舞台に釘付けになる。舞台は二景、蛇々丸、虎順、梅乃枝健、金太郎、赤胴誠(新人)も登場し、花道あきらとの「絡み」から目が離せない。いよいよ三景、蛇々丸と舞子の「絡み」、あきらの「愁嘆場」に涙する。そして終幕、見事、かわいい子分の仇を討ち終えた座長の「艶姿」に拍手の手を止めない。明るくなった客席で、一言、「よかったね」「ウン、うまい!」後は言葉がつながらなかった。「劇団」の実力は「集客能力」に比例しない。「いいものはいい」のである。
私は、他の劇団が演じる、同じ外題(内容)の芝居を何度も観ている。しかし、どこかが違う。何かが違う。それは、「型に秘められた心情表現の鮮やかさ」とでも言えようか。「型どおり」の演技の中に、それを演じている役者の「個性」が見え隠れしているところが「違う」のだと思う。この劇団の役者は(新人も含めて)、自分の「個性」(長所・短所)を知っている。「分をわきまえた」演技、「相手の個性を生かそうとする」演技に徹しようとしている。それが、「のびのびとした」「個性的で」「自信に満ちた」芸風を培っているのではないか。「人情劇」といえば、藤山寛美、美里英二、大川龍昇など「型」を全面に押し出す演技が定法だが、それを「自然体」で超えようとしているところに「鹿島順一劇団」の素晴らしさがあるのだ、と私は思う。
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