META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 2022年04月
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2022-04-30

付録・洋画傑作選・《「肉弾鬼中隊」(監督・ジョン・フォード・1934年)》

 映画「肉弾鬼中隊」(監督・ジョン・フォード・1934年、世界名作映画DVD)を観た。解説には〈ジョン・フォード監督としては珍しい戦争映画。第一次大戦中、砂漠に迷って敵に囲まれてしまった英国中隊が反抗するかという壮絶なアクションをお楽しみいただきけます〉とあったが、内容は「壮絶なアクション」とは無縁、とはいえ、というより、だからこそ「戦争の愚かさ、むなしさ」を根底から告発する「不朽の名作」に仕上がっていた、と私は思う。舞台は、果てしなく広がる炎熱の砂漠と、唯一、中隊が迷走のあげく辛うじて辿り着いたオアシスだけ、登場人物も中隊長の中尉、軍曹、伍長、その他兵士、合わせて10名そこそこといった面々というシンプルな設定で、戦争映画だというのに「敵」は全く登場しない。(わずかに終幕の場面で、数名のアラブ兵が無言のまま「霧のように」現れ、主人公(軍曹)が乱射する機関銃の餌食になってしまったが・・・)筋書も単純。本隊から偵察に派遣された中隊の先頭を歩いていた中尉が、突然、馬から崩れ落ちた。どこからとも知れず飛んできた、アラブ狙撃兵の銃弾に倒れたのだ。その時から、中隊の悲劇が始まった。中隊の任務、行き先、作戦(戦術・戦法)等々は、すべて中尉の胸中、当人が死者となってしまった今、誰も中隊に命令する者はいない。とりあえず、軍曹が指揮を執って本隊に戻ろうとする。行き先は北、北に向かって進めば川がある。そこで本隊に合流できるに違いない。一行は、いつ襲ってくるかもわからない「敵」におびえながら行軍(迷走)する。疲労は極度に達し、一頭の馬が力尽きて倒れ込んだ。それでもなんとか、水場、椰子の実、寺院のあるオアシスにたどり着くことができた。砂漠の中では馬が命の綱、ここで野営し馬を休ませれば何とか本隊に戻れるだろう。一同は、ともかくも安堵し一夜を過ごすが、翌朝、馬は一頭残らず姿を消し、見張りの兵士は刺殺されているという有様、やむなく、ここに留まって援軍を待つ他はなくなった。しかし「見えない敵」の「散発的な攻撃」に晒され、味方は一人、また一人と「戦死」、そのたびに軍曹が弔う「剣の墓標」が増えていく。ついさっきまで、言葉を交わし、力を合わせていた「仲間」たちが、ほんの一瞬のうちに逝ってしまう。嘆き悲しむ「時間」などない、という戦争の現実がひしひしと迫ってくるのだ。しかも「敵は見えない」、確認できるのは「味方の死」だけ、といった恐ろしさ、怒りに、猛り狂う。そうした光景が「戦争の愚かさ、むなしさ、残酷さ」を見事に描出していたのではないだろうか。この作品ができたのは、今から76年前、しかしその「映像表現」は決して「色あせることなく」、むしろその「シンプルさ」のゆえに、かえってその輝きを増しつつあることは間違いない。反戦映画の典型、文化的「世界遺産」として永久保存されるべき価値がある、と私は思った。
(2010.3.17)



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